【Vol.17 赤ワイン】
赤ワインは色の濃い黒ぶどうを使って果皮や種子も一緒に醗酵させるため、果皮から赤い色に染まり、タンニンと呼ばれる渋みを伴ったワインが生まれます。 そしてブドウ品種やテロワール、製造方法の違いによって、果実味や酸味、渋み、コクといった味わいのバランス、また香りが異なるワインとなります。
赤ワインの製造
赤ワインは除梗(不要な茎を取り除く)・破砕(実をつぶす)した後、果皮や種子も一緒にして醗酵させ、その後で圧搾して果汁を抜き取ります。
醗酵する間に果皮や種子から渋み成分のタンニンや赤い色素が抽出され赤ワインになります。
1)除梗・破砕 果梗(房の実をつないでいる茎)を取り除き、実をつぶす
2)醸し・醗酵 果皮や種子を含んだ果汁を酵母によって醗酵(糖分をアルコールに変える)
果皮や種子を果汁に漬け込むことを醸し(マセラシオン)と呼ぶ。
醸しの最中に表面に浮いた果皮や果肉をマールといい、成分が果汁に行きわたるようマールを押し込むピジャージュや、タンクの底から果汁を汲み上げてマールの上に注ぐルモンタージュを行う。
3)圧搾 マールとワインを分離
4)マロラクティック醗酵 3~4週間かけて二次醗酵させる
ワインに含まれるリンゴ酸が乳酸に変化することで、香りが複雑になり酸味は柔らかくなる。
5)熟成 タンクや樽で熟成
6)澱引き・清澄・濾過 澱や不純物を取り除く
7)瓶詰め 多くの赤ワインは瓶の中で更に熟成させる
赤ワインの代表的な品種はフランスではカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、ピノ・ノワール、シラー、グルナッシュ、ガメイ、マルベック、カベルネ・フランなどです。 イタリアではサンジョベーゼ、ネッビオーロ、スペインのテンプラニーリョ、アメリカのジンファンデルなど、他にも多くの種類が栽培されています。
カベルネ・ソーヴィニョン Cabernet Sauvignon
カベルネ・ソーヴィニョンと言えばフランスのボルドー地方が有名ですが、現在は世界各国で栽培される品種です。 実が小さく皮が厚いためタンニンが豊かに感じられ、果実味・酸味が加わった深い味わいが特徴です。
メルロー Merlot
メルローはボルドー地方で最も多く栽培される品種です。
実が大きく皮が薄いためタンニンが柔らかく、酸味が穏やかな優しい味わいになります。
ボルドーでは、タンニンと酸味の豊かなカベルネ・ソーヴィニョンと、タンニンと酸味の穏やかなメルローをバランス良くブレンドしたワインが代表的です。
ピノ・ノワール Pinot Noir
ピノ・ノワールはフランスのブルゴーニュ地方が有名で、繊細で官能的なワインを生み出すことで人気の高い品種です。 とても高価なロマネコンティもこの品種で造られています。 淡い色調で比較的軽い印象のワインをイメージしますが、香りが非常に豊かで、酸味と滑らかなタンニンでエレガントなワインが出来ます。
シラー Syrah
フランスのコート・デュ・ローヌ地方原産の品種で、オーストラリアではシラーズと呼ばれます。 濃い色調でスパイシーでエレガントな個性をもちます。 新世界では主に温暖な地域で造られ、濃厚な味わいになります。
グルナッシュ Grenache
スペイン原産でフランス南部で多く栽培される品種です。スペインではガルナッチャと呼ばれています。 甘い果実の香りをもち、酸味が穏やかで果実味が豊かな味わいが特徴です。
ガメイ Gamay
フランスのボージョレ―地方で多く栽培され、ボージョレー・ヌーボーで有名な品種です。 フレッシュな赤い果実の香り、タンニンが穏やかで酸味が感じられる軽快な味わいです。
その他のブドウ品種もその特徴を活かして醸造され魅力的な赤ワインになります。
飲み頃温度
赤ワインの飲み頃温度は概ね16~18℃です。(ワインによっては冷やしたほうが良いものもあります。) よく常温でと言われますが、日本の常温はワインにとってはやや高すぎる温度なので、出来ればワインセラーで温度管理されたものがベストです。 セラーが無い場合は飲む前に冷蔵庫やワインクーラーで少しだけ冷やすと良いと思います。 赤ワインは基本的にお肉やチーズなどのしっかりした味付けの料理とによく合います。