ムッシュWineColumn

【Vol.12 デキャンタージュとキャラファージュ】

デキャンタージュをされたことがありますか? デキャンタというワインを入れるガラス容器にワインを移すことによって、ワインの中の澱(オリ)を取り除いたり、空気に触れさせることで味わいをまろやかにすることです。

正確には澱を取り除くのがデキャンタージュ、空気に触れさせてワインを酸化させるのがキャラファージュです。

よく似ていますが、前者は澱を分離させるためそっと注ぎ、後者は空気に触れさせるため高い位置から注いだりデキャンタを回して空気を混ぜ込みます。

ワインの澱

赤ワインのボトルの底に沈殿する澱は、ワインの成分がボトル内で熟成する過程で結合したものです。 そのため主に熟成の進んだ年代物のワインによく見られます。 また白ワインでもミネラル成分などが結合して白っぽい沈殿物が発生することがあります。

自然派ワインなど生産工程で清澄・ろ過を行わないものでは、若い年代のワインでも澱が見受けられる場合があります。 澱はワインの成分の一部であり体に悪いものではないようですが、口に入るとざらついて美味しくないし、グラスに注いだ時の見栄えが良くありません。

デキャンタージュ

澱がグラスに入らないようにするには、飲む予定のワインを数日間立てて置いて澱をボトルの底に沈殿させ、その後で横に寝かせることでボトル底の一カ所に澱を集めます。 デキャンタ―がある場合は、澱をボトルに残すようにして綺麗な上澄みのワインだけを静かにデキャンタ―に移します。

私は日常あまり一度で飲み切らないのでデキャンタは使っていません。 ボトルからグラスに静かに注いで、残り少なくなった最後の時にはボトルを回しながら澱がボトル内側に引っかかるよう注ぐようにしています。 それでも入ってしまったら別のグラスにもう一度グラスを回しながら移し替えると、殆ど分離できます。

キャラファージュ

キャラファージュは渋過ぎたり硬く感じられる赤ワイン(比較的若い赤ワインに多い)を酸化させることによってまろやかな味わいにしたり、香りを開かせることを目的とします。 またボトル内の酸素が少ない状態のときに還元臭という硫黄系の悪臭が発生することがあり、これを酸化させて匂いを取り除くときにも行います。

キャラフェ(カラフ)と呼ばれる容器にワインを移し替えて、酸化を促進させます。 勢いよく移し替えたり、ワインが回るようにキャラフェを振るスワリングをしてワインに空気を触れさせます。 抜栓して時間をかけて空気に触れさせる代わりに、直ぐに飲みたいとき等に急激に変化させる方法です。

ワインはキャラフェでもグラスに注いだ後でも時間とともに酸化していきます。 酸化は後戻りが出来ないので、酸化させ過ぎには注意が必要です。 またゆっくり飲んで酸化による変化自体を楽しみたい方にはキャラファージュは不要でしょう。

他にも軽めのキャラファージュと同様の効果を出す道具にポワラーがあります。 これをボトルとグラスとの間に入れることで空気を混ぜながら注ぐことが出来ます。 注ぐ度にポワラーを使うかどうか選べるので、飲み比べすることも可能でお手軽です。

不快な匂いがする時はもちろんのこと、思ったより美味しくないなと思ったらキャラファージュしてみては如何でしょうか。 見違えるほど美味しくなる可能性があります。

ワイン愛好家
浦田 隆之

ヨーロッパ旅行がきっかけでワイン好きになり、ほぼ毎日ワインを愉しんでいます。
飲み始めたころは知らなかったワインを美味しく飲むための知識も少しずつわかるようになりました。温度や時間、グラスの違いなど、知ることで同じワインが2倍にも3倍にも美味しく頂けます。


※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています

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