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【Vol.7 自然派ワイン】

人気の自然派ワインは 身体に優しいと言われていますが、それは本当でしょうか。 また味は他のワインと何が違うのでしょう。

自然派ワインの定義

自然派ワインは、別名ナチュラルワインともヴァンナチュールとも言われ、本当のところ世界標準的な明確な定義はないようです。 基本的には出来る限り自然に近い造り方を取り入れて、人為的な影響を極力抑えることで、ブドウ・土地・気候などから授かる本来の美味しさを感じられるワインのことを指します。 具体的には次のような手法が取り入れられています。

■ 無農薬栽培
■ 化学肥料を使わない有機栽培
■ 収穫は手摘みで行う
■ 酸化防止剤の使用量を抑える
■ 天然酵母で醗酵させる
■ その他品質調整のための添加物を使用しない

自然派ワイン造りの第一はブドウの自然栽培(オーガニック)です。 自然栽培はどこまで厳格に行うかで次のように分けられます。

リュット・レゾネ
農薬や化学肥料を必要最低限だけ使う減農薬農法。 完全無農薬・有機栽培に比べて導入しやすく、フランスで一番多く取り入れられている農法です。 このレベルでも十分に自然な美味しさを実感できるワインが多くあります。

ビオロジック
完全有機農法(化学的な農薬・除草剤、肥料を全く使わない栽培)のブドウでワインが造られます。

ビオディナミ
ビオロジックに加えて、月や太陽など天体に基づいた栽培や熟成を行い自然の潜在能力を引き出す農法。 生産者のワイン造りへの情熱が伺えます。

自然派ワインの認証規格

世界標準とまではいきませんが、ワイン造りの盛んな各国では独自の取り組みや規格があります。 フランスでは「テラ・ヴィティス」「エコセール」「AB」など。 他にもEUが提唱する「ユーロリーフ」をはじめ、ワインに限らない農産物の有機栽培に関する規格が作られています。

テラ・ヴィティス
ボジョレーを中心に設立された団体で、自然環境に配慮した栽培・醸造を基本理念に、健全で個性豊かなぶどう栽培と衛生的な醸造による高品質ワインの生産を目指しています。 農薬の使用制限、水質・大気汚染の防止、汚染からの保護など妥協しない取り組みが義務化されます。

エコセール
フランス農務省が設立し世界に広がるオーガニック認定機関です。 農薬や化学除草剤、化学肥料を全く使わず、有機肥料だけを用いる厳格な有機農法で栽培され、手摘みで収穫されることなどが規定されます。 この有機農法を5年以上続けないと得られない認定です。

自然派ワインの価格

この製法で造るワインはとても手間がかかります。 また農薬や化学肥料に頼らない栽培法は収穫量が少なかったり、場合によっては収穫できないリスクもあります。 それがコストに影響するので、自然派農法を厳格にすればするほど価格は高くなりやすい傾向があります。

味わい

自然派ワインは、ブドウ本来の味わいに栽培された土地のテロワールが反映される素晴らしいワインです。 ただ自然に任せた栽培であるが故に、造られたワインの品質にバラつきが出る事があったり、味わいに比較的酸味を多く感じる場合があります。 自然派だから絶対美味しいということではないので、信頼できるお店で自分に合ったワインを買いたところです。 精魂込めて造られた自然派ワインは素晴らしい美味しさです。

そして添加物が少ないため悪酔いしにくいとも言われます。 私自身お酒はあまり強くなくボトル半分も飲んだら後が辛かったのですが、自然派ワインだと1本くらい飲んでも結構平気です。 ただ美味しくて調子に乗って更に飲み過ぎたら一緒なので要注意。 ブドウ本来の自然な味わいを持ち、身体にも優しいワインはとても魅力的です。

ワイン愛好家
浦田 隆之

ヨーロッパ旅行がきっかけでワイン好きになり、ほぼ毎日ワインを愉しんでいます。
飲み始めたころは知らなかったワインを美味しく飲むための知識も少しずつわかるようになりました。温度や時間、グラスの違いなど、知ることで同じワインが2倍にも3倍にも美味しく頂けます。


※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています

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