【Vol.11 ワインのヴィンテージ】
ワインを飲まれているとヴィンテージという言葉を聞いたことがあると思います。 これはワインを造るためのブドウを収穫した年のことを指し、その収穫した年の違いがワインの味に大きく影響します。
日本酒とは違う?
日本人の私たちにとって、ブドウが採れた年が違うだけで大きく味が違うというのは、なかなか理解できません。
日本酒を買いに行ってヴィンテージを気にすることは無いし、同じ銘柄の日本酒は毎年同じ味に造られていると思っています。
まあ日本酒も少しずつ違っているかも知れませんが、違いは少ないはずです。
でもワインは全然違います。
同じ畑で同じ人が栽培していても、その年の気候によってブドウの出来が大きく異なり、それによってワインの味も大幅に変わります。
日本酒と違ってその振れ幅がとても大きいのでしょう。
気候がブドウ栽培に適している年は良く熟した糖度が高い強いブドウが収穫でき、気候に恵まれなかった年は熟度が足らず糖度の低いブドウになって、その年のワインの味を決定します。
グレートヴィンテージ
良い年のワインは「グレートヴィンテージ」と呼ばれ、長期間熟成させることで素晴らしいバランスのワインに成長します。 逆に気候の悪い年のワインは長期熟成させても美味しくならないため、比較的早い時期が飲み頃になります。 長期熟成ワインの代表はボルドーの赤ワインで、同じ銘柄でもグレートヴィンテージのワインは高値になります。
ヴィンテージチャート
気候は生産地によって異なるため、ヴィンテージの良し悪しも生産地毎に違います。 フランスならボルドー地方とブルゴーニュ地方では異なります。 そこで生産地毎にどの年が良かったか、あるいは悪かったかが分かる一覧表があって「ヴィンテージチャート」と呼ばれます。 熟成ワインを選ぶ時の参考になる資料です。
熟成による変化
それでは良いワインは古ければ古いほど美味しいのでしょうか。それは違います。
ワインは最初若々しくフレッシュでややトゲのある様なハッキリとした印象で、赤ワインならタンニンが際立っています。
それが熟成するに従いフレッシュな果実味はドライに、タンニンは滑らかに、全体的に丸みを帯び纏まっていきます。
ところが熟成が行き過ぎると、しだいに果実味が薄れていき枯れたようになってしまいます。
すなわち各ワインには其々に最も適した飲み頃があるということになります。
飲み頃となる時期はヴィンテージによって異なります。
またボージョレ―などに代表されるフルーティーさを味わうワインは熟成させず造られて直ぐ飲むのが最適です。
ヴィンテージの楽しみ方
かなりのワイン好きに人の中には同じワインを沢山持って毎年飲んでその熟成による違いを楽しまれる方もいます。
これには熟成保存できるワインセラーが必要だったりとハードルが高いので、私は飲み頃になったワインを購入しています。
公表されているヴィンテージチャートで地方別に年度毎の評価を確認することが出来ます。(例えばボルドーの2009年は秀逸であるとか。)
ヴィンテージはブドウの出来具合いを評価する指標ですが、生産者の力量を忘れてはいけません。
生産者はブドウの出来具合いを見ながら醸造を調整してワインを造ります。
悪い年のブドウでも生産者の優れた醸造技術で素晴らしいワインにも成り得ます。
私もヴィンテージチャートを参考にワインを選んでいた時期がありましたが、より細かな地域や生産者の作り方での味の違いが大きいので、ヴィンテージチャートはあまり気にしなくなりました。
ワインを飲まれるときはラベルに記されるヴィンテージを見てそのワインが生まれた年を思い浮かべてみて下さい。