【Vol.26 ロワール渓谷のワイン】
ロワール渓谷は、ブロワ城、シャンボール城、シュノンソー城、ヴァランセ城といった歴史ある美しい古城が建ち並び「フランスの庭園」と呼ばれる風光明媚な地域です。 フランス北西部を大西洋に向けて流れるロワール川の1,000kmにも及ぶ川岸の周辺にブドウ畑が広がります。
ロワール川上流から順に、「サントル・ニヴェルネ」「トゥーレーヌ」「アンジュー&ソーミュール」「ペイ・ナンテ」の4つの地区に分類され、各地域の気候と土壌に合わせて異なる品種が栽培されます。
サントル・ニヴェルネ地区
ロワール川最上流部と支流のシェール側流域のワイン産地です。 土壌は石灰質や、気候は夏冬の温度差が大きい大陸性気候で、ブルゴーニュに似ています。 フレッシュでミネラルを感じられる白ワインが多く造られます。 ブルゴーニュに近いことからピノ・ノワールが栽培され優れた赤ワインも造られています。
トゥーレーヌ地区
歴史ある古城が最も多くて素晴らしい景観が人気の地域です。 土壌は石灰質や粘土質で、多彩なワインが造られます。 赤ワインでは「シノン」や「ブルグイユ」に代表されるカベルネ・フランが有名です。 白ワインでは甘くフローラルな香りとフルーティーな味わいのシュナン・ブランが主流となります。
アンジュー&ソーミュール地区
ロワール川の中流にあって大西洋に近いこの地域は、冬暖かい海洋性気候の影響を受けブドウ栽培に適した気候です。 土壌は砂質や粘土石灰質で、多種多様なワインが造られています。 白ワインはシュナン・ブランが主体で、甘口ワインも多い地域です。 赤ワインでは熟した果実のような味わいを持つカベルネ・フランが造られます。
ペイ・ナンテ地区
ロワール川の下流域、河口に近い場所のため、穏やかな海洋性気候の地域です。 土壌はシスト土壌、砂質、花崗岩質、片麻岩などと多彩です。 白ワインのミュスカデ(別名ムロン・ド・ブルゴーニュ)の主要産地として有名で、ミネラル感があふれた爽やかで繊細なワインが造られます。 また「シュール・リー」という製法が普及しています。 これは白ワインの醗酵後に澱を取り除かないで一緒に寝かせる醸造法で、フレッシュな香りと円やかさが特徴です。
ロワールワインの特徴
ロワールの赤ワインと言えばカベルネ・フランが代表的です。
ボルドーではブレンド用に使われる補助的な役割ですが、ロワールでは主役として活躍し銘ワインが生まれています。
この地域では白ワインの生産量の50%を超えているように、白ワインの生産が盛んです。
(赤ワインは25%程度、残りはロゼとスパークリング)
甘い香りと豊かな果実味のシュナン・ブランや、爽やかな香りとミネラル感のミュスカデはとても魅力的です。
ロワール地方ではオーガニック栽培が盛んで、自然派ワインも多く造られるようになってきました。
特別高価ではなくボルドーやブルゴーニュに比べて比較的リーズナブルな価格で買えるロワールのワインに注目しています。